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2008年12月

『野々村病院の人々』

『野々村病院の人々』

機種 : セガ・サターン
発売日 : 1996年4月26日
発売元 :エルフ
価格 : 6800円
ゲームデザイン・シナリオ : 蛭田昌人
キャラクターデザイン・原画 : 横田守
ノベライズ : 紙谷龍生 『野々村病院の人々』

 悪名高き天才探偵、海原豚麻呂は、ふとしたことで野々村病院に入院することになる。綺麗な看護婦たちにちょっかいを出して入院生活を楽しんでいた彼の耳に、この病院で数日前に院長が亡くなっていたことが入って来た。そしてそれは、他殺かもしれないという噂だった。さっそく事件の捜査を始めるうちに、思いもよらぬ事態が発生する‥‥。

 パソコンで大ヒットした、アダルト推理AVGのセガ・サターン移植版。サターン版でもX指定18才以上となり、最低限の修正で移植されたらしい。後の『EVE』シリーズなどの、パソコン用アダルトAVGのサターンへの移植の走りとなったゲームでもあり、これまでセガのハードといえば硬派なイメージだったのが、一転してギャルゲー路線へと変わって行った、起点となったゲームでもある。

 ゲームデザイン及びシナリオを担当したのは、エルフの蛭田昌人で、ストーリーや人間ドラマを必要としないアダルト・ゲームの中に、しっかりとしたシナリオを描けるゲーム作家として、パソコン・ゲーム・ファンの間では有名だ。

 このゲームでも、私が一番に驚いたのが、ラスト明らかになる意外な犯人で、その犯人の意外さから、このゲームがたんなるギャルゲーではなく、きっちりとした人間ドラマなのだと思った。ネタばれになってしまうので、その犯人が何者か、書けなくて残念だが、18禁のアダルト・ゲームだからこそ描けた真相だった。後にOVAが前後編の二部作でリリースされたが、真相が変り、犯人がも変わったてしまった為に、凡庸なアニメになってしまっていて、残念だった。

 アダルト・ゲームというと、一般的な方には敬遠されそうなジャンルだが、その中には良作推理AVGも、いくつか存在しているのだ。

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『京都鞍馬山荘殺人事件』

『山村美紗サスペンス 京都鞍馬山荘殺人事件』

機種 : 3DO
発売日 : 1994年3月20日
発売元 : パック・イン・ビデオ
価格 : 12800円
原作 : 山村美紗『京都鞍馬殺人事件』
監督 : 津島勝

 日本舞踊の名門、桜木流の山荘で家元の桜木陽扇の誕生パーティが開かれていた。フリーライターで推理マニアの主人公、園山千晶はその誕生パーティに招待され、山荘へと向かっていたが、彼女が着く前に、陽扇は何者かに殺されてしまう。千晶は、日本舞踊の世界を舞台とした、この殺人事件の謎に挑戦する。

 まず、3DOというゲーム機を説明しておこう。プレステやサターンと同時期に、松下電器パナソニックがリリースした、初の32bitゲーム機だった。ゲーム機というより、マルチメディア端末機というコンセプトで、ビデオに匹敵する家電製品を目指していた。けれど、ヒットゲームに恵まれず、プレステの勢いに飲まれて、あえなく撃沈。

 そんな消え去ったゲーム機を、今も私は大事に保管している訳だが、それはこの『京都鞍馬山荘殺人事件』や『悪逆の季節』といった、このハードでなければプレイできないゲームがあるからである。この二本の良作推理AVGがある故に、この黒歴史的なゲーム機を購入した事に、決して後悔はしていない。

 むしろ、優越感すら抱いている。

 さて、山村美紗原作AVGは、ファミコンに始まり、PCエンジンと、この3DO、そして最近ではニンテンドーDSと、ハードとメーカーを変え、何度かリリースされている。しかし、この3DO版には、3DO版にしかない特徴がある。それは、全編実写ドラマでゲームが進んでいく事である。

 主人公の園山千晶を当時人気があった小川範子が演じていたり、狩谷警部を西岡徳馬が演じていたり、山村美紗の娘、山村紅葉が出演している他、様々な俳優が出演している。ファミコン版の『京都龍の寺殺人事件』では、グラフィックを実在の俳優に似せていたが、32bit機である3DOの登場によって、実写映像がふんだんに使えるようになり、完全にドラマを見ているような2時間サスペンスAVGが生み出されたのだった。

 山村美紗と、西村京太郎もそうだが、こうした実写を使ったシステムは、この3DO版のみであり、それゆえに、3DOとこれらのソフトを所有している事に、私は誇りを感じているのだった。前記したように、3DOはマルチメディア端末としてリリースされたいたので、こうしたドラマを見ているようにプレイできるゲームは、3DOのイメージとマッチしていたのではないかと思う。

 それに加えて、斬新なゲームシステムもいくつかあった。今では当たり前になったが、後半には「視点モード」といって、3Dで描かれた山荘内を自由に歩き回れるシーンが出てくる。また、捜査の仕方によって隠れたポイントが増えたり減ったりしていて、このポイントによって、エンディングが変わる、マルチエンディングになっていた。最も高いポイントだと、実行犯以外に、事件の黒幕がわかるようになっている。

 3DOの実写動画再生能力は、サターンよりはマシだったが、プレステよりは劣っていて、お世辞にも綺麗な動画とは言いがたかった。このゲームがリリースされてから、10年以上がたち、ゲーム機の性能は向上し、DVDロムになったけれど、このゲームのように、2時間サスペンスを堪能できる、本当の意味でのやるドラマが、最近では見かけなくなってしまったのが、ほんとに残念でならない。

 因みに、原作は『京都鞍馬殺人事件』で、キャサリン・ターナーが探偵役のシリーズの一作となっている。同じく桜木流に起こった殺人事件の話だが、ストーリーは異なっている。

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『オホーツクに消ゆ』

『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ 』

機種 : ファミコン
発売日 : 1987年6月27日
発売元 : アスキー
開発 : ログインソフト
価格  : 5800円
ゲームデザイン・シナリオ : 堀井雄二
サウンドトラック : 『サウンドアドベンチャー 北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』
ファンサイト : :オホーツクに消ゆ

 東京湾・晴海埠頭に水死体あがったとの通報を受け、刑事たちは駆けつけた。死体の身元は北海道からの旅行者だった。北海道へ飛んだ刑事は、地元の若い刑事とともに、捜査を開始する。しかし、彼らを待ち受けていたのは、道内の各地で次々と起こる連鎖的殺人事件だった‥‥。

 『ポートピア連続殺人事件』に続く、堀井雄二の推理AVG第二弾。もともとはPCゲームだが、現時点で私はファミコン版(とゲームブック版)しかプレイしたことがないので、ファミコン版をもとに語っていこうと思う。

 私がこれまでにプレイしたゲームの中で、最もナンバー1に輝くゲームを挙げよと言われたならば、迷う事なく、私はこの『オホーツクに消ゆ』をあげる。もしも、このゲームに出遭う事が無ければ、今こうして、AVGについて熱く語る私はいなかったであろう。

 発売時期的に言うと、同時期に『さんまの名探偵』や『新宿中央公園殺人事件』といった、現在でも語られる推理AVGがリリースされた時期だった。もちろん、それらのゲームも私はリアルタイムにプレイしていた。しかし、これらのAVGと、『オホーツクに消ゆ』では、ある一点で、決定的な違いがあった。

 それは私が、あのエンディングに登場する写真を見たとき、部下の黒木が語るセリフと同様に、涙を零しそうになった、ということだ。

 『さんま~』や『新宿~』をクリアした方はわかると思うが、この二本、ラストの後味は、良いとは言い難い。それに対して、『オホーツク~』のラストのあの写真は、あまりに清々しすぎた。思わず、画面に向かって、「おめでとう、シュン!」と言いたくなった。ゲームで、こんなにも心を動かされる事があるのだと、その時、初めて知ったのだった。

 私が、ゲームで感動したのは、この『オホーツク~』が最初で、それだけに、思い入れが深いのだ。

 勿論、ストーリーの方も、北海道の各地を捜査してまわるスケールの大きさ、4件の殺人事件が起きるストーリーのボリュームと、過去の大事故が関係してくる奥深さと、これまでの推理AVGとは一味も二味も違っていた。いくらゲーム機が進歩しても、『オホーツク~』を超えるゲームは、私の中では、まだ現れていない。

 などと、ベタ誉めしてしまったが、それだけ良いゲームだ。今は携帯でプレイできるので、ぜひ、プレイできる環境の方は、プレイして欲しい。

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