3DO

『京都鞍馬山荘殺人事件』

『山村美紗サスペンス 京都鞍馬山荘殺人事件』

機種 : 3DO
発売日 : 1994年3月20日
発売元 : パック・イン・ビデオ
価格 : 12800円
原作 : 山村美紗『京都鞍馬殺人事件』
監督 : 津島勝

 日本舞踊の名門、桜木流の山荘で家元の桜木陽扇の誕生パーティが開かれていた。フリーライターで推理マニアの主人公、園山千晶はその誕生パーティに招待され、山荘へと向かっていたが、彼女が着く前に、陽扇は何者かに殺されてしまう。千晶は、日本舞踊の世界を舞台とした、この殺人事件の謎に挑戦する。

 まず、3DOというゲーム機を説明しておこう。プレステやサターンと同時期に、松下電器パナソニックがリリースした、初の32bitゲーム機だった。ゲーム機というより、マルチメディア端末機というコンセプトで、ビデオに匹敵する家電製品を目指していた。けれど、ヒットゲームに恵まれず、プレステの勢いに飲まれて、あえなく撃沈。

 そんな消え去ったゲーム機を、今も私は大事に保管している訳だが、それはこの『京都鞍馬山荘殺人事件』や『悪逆の季節』といった、このハードでなければプレイできないゲームがあるからである。この二本の良作推理AVGがある故に、この黒歴史的なゲーム機を購入した事に、決して後悔はしていない。

 むしろ、優越感すら抱いている。

 さて、山村美紗原作AVGは、ファミコンに始まり、PCエンジンと、この3DO、そして最近ではニンテンドーDSと、ハードとメーカーを変え、何度かリリースされている。しかし、この3DO版には、3DO版にしかない特徴がある。それは、全編実写ドラマでゲームが進んでいく事である。

 主人公の園山千晶を当時人気があった小川範子が演じていたり、狩谷警部を西岡徳馬が演じていたり、山村美紗の娘、山村紅葉が出演している他、様々な俳優が出演している。ファミコン版の『京都龍の寺殺人事件』では、グラフィックを実在の俳優に似せていたが、32bit機である3DOの登場によって、実写映像がふんだんに使えるようになり、完全にドラマを見ているような2時間サスペンスAVGが生み出されたのだった。

 山村美紗と、西村京太郎もそうだが、こうした実写を使ったシステムは、この3DO版のみであり、それゆえに、3DOとこれらのソフトを所有している事に、私は誇りを感じているのだった。前記したように、3DOはマルチメディア端末としてリリースされたいたので、こうしたドラマを見ているようにプレイできるゲームは、3DOのイメージとマッチしていたのではないかと思う。

 それに加えて、斬新なゲームシステムもいくつかあった。今では当たり前になったが、後半には「視点モード」といって、3Dで描かれた山荘内を自由に歩き回れるシーンが出てくる。また、捜査の仕方によって隠れたポイントが増えたり減ったりしていて、このポイントによって、エンディングが変わる、マルチエンディングになっていた。最も高いポイントだと、実行犯以外に、事件の黒幕がわかるようになっている。

 3DOの実写動画再生能力は、サターンよりはマシだったが、プレステよりは劣っていて、お世辞にも綺麗な動画とは言いがたかった。このゲームがリリースされてから、10年以上がたち、ゲーム機の性能は向上し、DVDロムになったけれど、このゲームのように、2時間サスペンスを堪能できる、本当の意味でのやるドラマが、最近では見かけなくなってしまったのが、ほんとに残念でならない。

 因みに、原作は『京都鞍馬殺人事件』で、キャサリン・ターナーが探偵役のシリーズの一作となっている。同じく桜木流に起こった殺人事件の話だが、ストーリーは異なっている。

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『時を超えた手紙』

1994年 シンキングラビット

 1945年アメリカ。デイリー・カサブランカ社のジェリー・ランドルフは、友人のメイ・エルガーが失踪した事を知り、彼女の家へと向かう。そこで見つけたのは、メイの父にして天才科学者たるエルガー博士の死体と、奇妙な機械だった‥‥。

 PC9800などでリリースされていた『カサブランカに愛を』をリメイクしたもので、製作はもちろん、シンキングラビットの今林宏行。犯人はタイムマシンを使って逃走したとみられ、主人公たちもタイムマシンを使って過去にタイムスリップし、事件の真相を追うという、内容である。

 『カサブランカ~』というタイトルは、あんまりゲーム内容に関係の無いものだったが、そっちの方がロマンチックで、『時を超えた手紙』は味気ないタイトルになってしまった。

 グラフィックも、『カサブランカ~』は全編モノクロで、翻訳小説の挿し絵のような、味のある絵柄だったのが、『時を~』ではカラーになってしまった。一歩進むたびに読み込みでまたされるのだから、モノクロの方がよかったと思う。とはいえ、古き良きアメリカを表現する独特な画に対する評価は高い。

 そして、心温まるシナリオは、『カサブランカ~』そのまま。

 このゲームの素晴らしい所は、悪人がまったくいない、という点である。舞台となっているのは、アメリカの田舎町で、田舎に住んでそうな素朴な方ばかりが出てくる。特にエンディングは必見で、読み上げる手紙の内容には、思わず目頭が熱くなってしまった。

 まさに癒し系推理ゲームと呼ぶにふさわしいのは、後にも先にも、このゲームだけなのかもしれない。

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